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診療科の特徴
膠原病とは、結合組織にフィブリノイド変性を認める疾患群を総称した病理組織学的概念で、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、混合性結合組織病(MCTD)などの疾患が含まれます。自己免疫が共通する病態ですが、病因や病態は完全に解明されておらず、多くは難治性で、多臓器にわたる多彩な症状を呈します。従って、膠原病診療においては、高度に専門的な医療が提供できるよう、内科における各専門科だけでなく、整形外科、皮膚科、眼科、リエゾン精神科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科など、各科との緊密な連携を図る必要があります。膠原病の中には、必ずしも典型的な症状を呈さず、原因不明の発熱や、筋・骨格系の異常を示す症例もありますので、疑わしい場合はご遠慮なくご相談ください。
膠原病の中で、圧倒的に患者数が多いのが、関節リウマチです。飯塚市を中心とした医療圏内には、約3,000人の患者数が見込まれており、毎年70~100人程度の新規患者発生が推測されております。リウマチ患者さんの予後は関節破壊をいかに防ぐかにかかっており、関節破壊が発症早期から急速に進むことを踏まえ、可能な限り早期に専門的治療を開始することが重要です。リウマチ診療の場面を劇的に転換した生物学的製剤の登場から10年以上が経過し、これらの治療経験とそれに基づく多くの知見の集積により、高率に疾患活動性をコントロール出来るようになってきました。発症早期であればより高い治療効果が見込まれますが、罹病期間の長い患者さんでも十分な治療効果が見込めます。生物学的製剤に匹敵する効果のある経口薬も複数上市されており、病態や合併症などの患者個々の状態に応じ、これらの薬剤を適切に使い分ける必要があります。他の膠原病に関しても、ステロイド中心の治療体系に加え、あるいは補完するように、免疫抑制剤や新たな作用機序を有する薬剤の使用も可能となっております。こうした最先端の治療を積極的に導入し、地域における中核専門施設として機能すべく努力していきたいと考えています。
膠原病・リウマチ内科News&Topics
関節リウマチの治療では、患者層の高齢化とその対策について当該領域でも強い関心を持たれております。この集団では多彩な合併症の精緻なケアが原疾患の治療にも重大な影響を及ぼすことから、内科領域はもとより他の診療科との連携、地域の医療機関との連携を更に深める必要性を強く痛感しているところです。
有効な薬剤の開発上市は続いており、関節リウマチ以外の膠原病領域でも新たな作用機序を有する薬剤や世界標準の治療薬の使用が可能になっております。治療成功の確率は高まっているものの、既存治療無効例や治療に制約を及ぼす並存疾患を有する事例などのUnmet medical needsは依然として残っております。患者個々の条件に配慮した治療の最適解を得る為に、また地域の基幹病院としてのニーズに応える為に、診療水準のさらなる向上に努めたいと考えております。