診療科の特徴
当科は、コンサルテーション・リエゾン活動、心身合併症センター(西3階、一般病床)および、精神科病棟(西1階)、外来での診療を行っております。総合病院精神科の立場から、筑豊地域の精神と身体の問題を抱えた患者さんの診療に貢献したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
コンサルテーション・リエゾン活動
入院中に身体疾患の治療、管理に影響を及ぼすせん妄やうつ病、統合失調症などの精神疾患を抱えた患者さんに対しては、精神科リエゾンチームを中心として対応しています。同チームでは、精神科医をはじめ、リエゾンナース、臨床心理士、作業療法士、薬剤師、精神科ソーシャルワーカー(PSW)などの多職種がそれぞれの専門の能力を発揮して共同で取り組んでいます。
当院ではリエゾン活動の一環として、一般病棟入院中の主にせん妄、認知症の患者さんを対象に小グループでの精神科作業療法(当院ではリエゾンOTと呼んでいます)を行っています。病院内のデイサービスのようなイメージで、塗り絵や創作活動、体操、音楽など、患者さんの趣味や特技、意向に沿って回復状況に適した作業を提供しています。入院生活は普段の生活と環境が大きく変わることによるストレスを生じやすく、特に高齢者にとっては睡眠リズム障害や情緒の不安定、せん妄や認知症の進行をきたす原因になることがあります。リエゾンOTに参加することで、入院生活の中でベッドを離れ、安心して楽しく過ごしていただく時間が確保され、日中の覚醒度が向上し、さらに、不眠やせん妄を予防・改善することが期待されます。
入院診療
精神科閉鎖病棟では、身体疾患の合併がない精神疾患の患者さんも含めてご紹介に応じておりますが、施設の構造上酸素投与・吸引の必要な患者さんやADLが著しく低下している患者さんは入院受け入れが出来ない場合があります。また、アルコール、シンナー、その他の薬物の依存症の専門的な治療プログラムは実施しておりません。
心身合併症センター(西3階)は、身体疾患と精神症状を合併しているため治療・管理が困難な患者さんについて、身体管理を担う身体科の主治医と、精神疾患の管理を担う精神科医が共同で治療にあたっています。
外来診療
外来診療は、院内他科からのご紹介の患者さんを外来リエゾン(予約制)として診療しております。また当科通院中の患者さんを対象に訪問看護を行なっており、2019年からはマインドフルネスストレス低減法(通院集団精神療法)も実施しています。
デイケア「エスポワール」
飯塚病院のリエゾン精神科では、退院後や外来通院での患者さんの社会復帰の支援活動として、精神科デイケアでのリハビリテーションも行っています。
精神疾患を有する患者さんは、精神面だけではなく身体機能や認知機能の低下により日常生活に支障をきたす場合がしばしばあります。また、通院中断などにより、精神状態が悪化する事も少なくありません。当院では、規則的な生活リズムの確立、生活自立の支援、病状の安定化と維持、対人関係スキルの向上、社会生活機能の回復、体力の向上などを目的とした外来リハビリテーションを行っています。
プログラムの内容としては、創作活動、ストレッチ、リラクゼーション、屋外活動、SCIT(社会認知ならびに対人関係トレーニング)、SST(生活技能訓練)などの社会生活体験などを行っており、患者さんの状態や能力、個別の目標に合わせて実施頻度やプログラムを選択できます。
他院にかかりつけの方でも並行して当院デイケア「エスポワール」のみの利用が可能です。ご紹介したい患者さんがいらっしゃいましたら、当院デイケアまたはリエゾン精神科外来までお気軽にご相談ください。
リエゾン精神科News&Topics
2022年9月1日よりデイケア「エスポワール」が生活棟3階から南病棟1階の旧南1A食堂跡へ移転しました。デイケアは午前中のみの精神科ショートケアとして運用しています。
精神的な病気や障害の回復および安定、体力の向上、生活リズムや対人関係の改善などを目的とし、活動を通して、社会参加や自立を目指す外来リハビリテーションを行っています。現在のプログラム内容としては創作活動やストレッチなど、集団の中でそれぞれの課題に取り組んでいます。COVID-19の影響下にあるためプログラム内容は様々な制約をうけていますが、感染状況をみながら、活動の幅を広げていきたいと考えています。