生活者の視点を忘れない
山本 未央
- 出身
- 飯塚市
- 出身校
- 九州看護福祉大学
- 趣味
- ライブ参戦
患者さんそれぞれの不安に向き合う
私は、外来患者さんの相談対応を担当しています。
外来では、治療に対する不安、医療費などの経済的な不安、人間関係などさまざまな問題や悩みを抱える方がいらっしゃいます。患者さんの多くは、急な疾患に戸惑われていることが多く、これからの生活に大きな不安を感じています。ひとつとして同じ相談はない中で患者さんの思いや要望・これまでの生活、社会背景など正確に把握する冷静な評価と、患者さんとしっかり向き合いたい!という熱い気持ちで取り組んでいます。しかしながら外来という限られた時間の中で、十分に支援することの難しさも感じています。
一緒に悩みながら寄り添う
ソーシャルワーカーの仕事は、機械的にはできない仕事だと感じています。当たり前のことですが、同じような相談内容であっても、患者さんのつらさや問題はそれぞれ違うということを意識して業務に取り組んでいます。そこに SW の専門性を発揮することが求められると思うからです。ここがマンネリ化してくると、機械的な作業になりかねません。ただ情報提供だけするのではなく、患者さんに寄り添い、ときには一緒に悩みながら関わることが必要だと感じています。同時に、患者さんが安心して治療に臨め、よりよい生活を送ることができているだろうかと自問自答しながら患者さんと向き合う日々です。
本田 愛理
- 出身
- 朝倉市
- 出身校
- 筑紫女学園大学
- 趣味
- 舞台鑑賞
次へ繋げる役割
私は、入院患者さんの生活に関わる相談や退院支援を担当しています。
飯塚病院は急性期病院のため、当院の入院期間で治療が完結することは少なく、急性期治療が終わると、リハビリや療養継続に向けた転院を行うことが多くあります。転院支援において、患者さんがこれからどんな生活を送りたいのか、そのために次の病院で何をやりたいのか、何をしなければならないのかなど、患者さんやご家族が目的をもって転院できることを意識しています。飯塚病院を退院した後も、患者さん・ご家族が目的を見失うことがないように次の医療機関へ繋げるのが私の役割だと思います。
面接を大切に
これがベストだっただろうかと悩むことも少なくありません。患者さんの考え方や生活の仕方はそれぞれ違います。医療者としての思い込みや理想を押し付けるのではなく、患者さんのこれまでの生活や人生を知り、受け止め、これから望んでいる生活は何か、そのためにこれから何ができるのかを、社会資源などの力も借りながら、面接を通して一緒に考えています。患者さん・ご家族、飯塚病院のスタッフ、サポートしてくださる地域の方々が同じ方向を向いて進んでいくための、ちょっとしたお手伝いになっていればいいなと思います。
以前、ご家族のこれまでの頑張り、今抱いている不安や葛藤を受け止めながら面接を行ったところ、「あなたに相談できてよかった。ここまで話を聞いてもらえると思わなかった。この仕事は、あなたにとって天職だと思います。」と声をかけていただきました。『何か役に立ちたい』と相手を思っていることが伝わった、と充実感がありました。
私たちの「まごころ医療」=生活者の視点を忘れない
わたしたちソーシャルワーカーの仕事は、だれもが自分自身の力を発揮し、それぞれの豊かな生活を営めるように支援することにあります。
患者さんの転院調整をしたり、社会資源等の情報提供を行うことだけがわたしたちの仕事ではなく、どんな生活を希望しているのか、そのためには何が必要かを患者さんとともに考えながら、ときに情報提供することで患者さんの選択の幅を広げ、選択ができるようお手伝いすることが必要だと考えます。何をもって適切かということは人それぞれで、一律の正解はありません。患者さんが自分らしく生活が送れるよう多面的にサポートすることが私たちの役割だと感じています。
病院を受診している患者さんには、家に戻るとそこにはそれぞれの生活があります。私たちは来院している短い時間の患者さんしか分かりません。患者さんの生活を知り、患者さんの気持ちに寄り添い、またこれからの生活に思いを馳せることが大切なことだと思います。患者さんが病気や疾患を抱えながら自分らしい生活が送れるよう、『生活者の視点』を忘れずに、一人ひとりの患者さんと寄り添い、時には一緒に悩みながら支援していくことが私たちのまごころだと思います。